3月15日(火)
ノダマップから訃報というタイトルのメールが届く。
そこに照明家、小川幾雄の文字が目に飛び込んで来た。
逆鱗を準備する中で体調を崩していた小川さんの降板が決まった時
病気を克服して戻って来るとまた勝手に思い込み
次回の作品では会えると能天気に過ごし
皆んなで逆鱗の灯りを小川さんが作っていたら
服部さんの灯りとどんな風に違っていただろうと想像し。
小川さんは人前でスピーチをするのが嫌いで
ある時の初日乾杯で小川さんが呼ばれた時は何も言わずに
脱兎のごとく荷物を持って走って帰ったのを見て唖然とした。
その時は少し大人気ないと思ったけど小川さんらしい。
そして最期も誰にも告げず私たちに届いた知らせは
全てが終わった一週間後の東京千秋楽の後。
小川さんはここまで気を使ったのか?
小川さんの灯りは静かで強い。
多くを語らないのに空間を詩で包む。
シャイで謙虚で真っすぐで。
私よりずっと年上のはずだけど
いつまでも野原で空を仰いでいる少年のままで往ってしまった。